「失敗」と思ったら実は「大成功」だった
8月1日(土)
ずっと「やらなきゃ」と思っていた腕時計のベルト交換に、ようやく行くことができた。
その日は午後に出かける用事があったので、その前にちょっと立ち寄る、という段取りで家を出る。
ところが、余裕を持って出たつもりだったのに、実際に店に到着してみたら、思いのほか時間がないことが発覚。(もうこの段取りの組めなさどうにかしたい…!)
別に「どうしようもなく時間がない」という訳ではないのに、変な焦りが出てきてしまった。(私って小心者)
「どれになさいますか?」
平静な顔を取り繕った私の心中など知るよしもなく、スタッフの修理士さんが店に置いてあった色々な色の革ベルトを目の前に並べてくれた。
「じゃあこれでお願いします」
と、あまり間を置かずして私が選んだのは白い革のベルトだった。
前に使っていたのが青だったので、今度は違う色にしたいな~と、直観でなんとなく目に入ったものを選んだ。
10分ほど待った後(その間も私はソワソワし通しだった)、白いベルトが取り付けられた時計を目の前にして「ああ、失敗した」と思った。
時計の本体と、選んだベルトのデザインが合っていなかった。
時計の本体は、金色で秒針だけが青というデザイン。
金と白の組み合わせは良いとして、秒針の青と白がマッチしていない。
(これなら前回と同じ青にしておくんだった…)
(やっぱりもっと落ち着いた気持ちの時に選ぶんだった…)
様々な後悔が胸をよぎる。
テンションはダダ下りだった。
しかし、時すでに遅し。
5,500円の代金を支払って、泣く泣く店を跡にするほかはなかった。
その後の用事に向かう道中も、一応腕にはつけたものの、あまり見る気にはなれなかった。
自分の選択ミスの結果を、誰が好き好んで目に入れようとするだろう。
ちょっと不貞腐れた気持ちで街を歩く。
ふと、建物のガラスに映った自分の姿が目に入った。
その瞬間、かすかに「晴れ」の兆しが胸をよぎる。
(あれ、良いかも…!)
ひっくり返された砂時計のように、自分の気持ちがみるみるうちに「反対側」へと流れていくのが分かった。
今夏に新調した白いサンダルと、白い腕時計が良い感じにマッチしていたのだ。
ワンピース1枚のコーディネートが絶妙にまとめあがっている。
「時計の文字盤とベルト」というミクロの世界でみたらイマイチだった。
けれども、頭からつま先までのトータルで見たら、あの時計は何とも良い味を醸し出してくれるのだ。
私のテンションは奇跡の急上昇を遂げた。
たかが時計のベルト。
されど時計のベルト。
自分のファッションが「イケてる!(笑)」と思えただけで、こんなにも気分が上がって自信が持てるようになるとは。
ミクロの視点だけで判断せずに、マクロな視点でものごとを捉えるようにすることも大切なことであり、同じ現象でも、見方を変えれば良し悪しもひっくり返る。
またしても、ひとつ学んだ。
ありがとう、白いベルト。
ありがとう、このベルトを選んだ私。
今となっては「白ってめっちゃ夏っぽいじゃん!」という新たな気づきも加わり、すっかりお気に入りとなった時計を覗きながら、今日もお出かけをしてみるのであった。