おひまでなにより。

暇すぎて、忙しい人生にしたい

自分と向き合うことが、一番の癒し

 

暑い盛りの夏が過ぎて、少しひんやりとしてきたこの頃。

温かいお風呂が身に染みる季節に入ってきた。

そんな中、温泉に入って身も心もスッキリ&ぽかぽするのも良いなぁ、と思わせてくれた本に出合った。

 

保健室経由、かねやま本館。

保健室経由、かねやま本館。

 

 

心に傷を負った中学生だけが入ることのできる温泉「かねやま本館」。

日本中の中学校に繋がっていて、それを必要としている生徒にだけ秘密の入り口が開かれる。

なんとなく『千と千尋の神隠し』を思い出す。ワクワク。

 

主人公の女の子は、”仲良しグループ”の子たちに「ちょっとしんどい」と言われて仲間外れにされてしまう。

これって、しんどいことだよね。

中学生にとって、学校での人間関係って世界のすべてだと思う。

ひとたび人間関係でトラブってしまうと、ただ生きていくのさえ怖くなってしまう気持ちは分かるなぁ。

 

この小説で一番面白かったのが、主人公の女の子が「内省」する場面。

意地悪をする方がもちろん悪いんだけど、色々あって主人公も「自分にも何か原因があるんじゃないかな」と思い始める。

 

かねやま本館の温泉は、一人ひとりが心に抱えているものに合った効能のお湯を提供してくれる。

「内省」のお湯に浸かると、そこに現れたのは、人気者であることを自負し、勝ち誇った表情を浮かべる主人公の影だった。

 

思っていたよりも嫌な奴だった見た自分の姿に思わず「ぎゃあ!」と悲鳴をあげてしまう主人公。

確かに、自分のイヤな面を客観的に見せられるって、なかなかの苦行だ。

私だって恐ろしくて、他人から見た自分の姿なんて見たくない。

 

でも、そこから自分と向き合い、もう同じことで傷ついたりすることなどない、新しい自分に生まれ変わる力が湧いてきたのだ。

 

 

なんとなくの勝手なイメージだけど、いじめのシーンなんかがあったら「意地悪する方が悪で、意地悪された方が被害者」というスタンスのものが多い気がしていた。

だから、「自分が意地悪された原因」に向き合うシーンが、とても新鮮に感じられた。

 

他人に攻撃されることよりも何よりも、一番苦しいのは、自分の過ちに向き合うこと。

 でも、大人でもそれが出来ている人ってとても少ないと思う。

 

温泉って、心の傷を癒し、自分に向き合う力を蓄える場所なんだな。

 

そして、毎回お風呂上りに出てくる食べ物がまた美味しそうだったのだ。

 

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ということで、再現してみた。

塩むすび

 

温かい温泉と、おいしいもの。

誰もが抱えている心の傷と、再生。

 

読み進めていくうちに、主人公と一緒になって身も心も癒されていく。

そんな読書体験だった。 

保健室経由、かねやま本館。

保健室経由、かねやま本館。

 

 

お題「我が家の本棚」