「食べちゃいけないもの」を食べまくって感じたこと
一昨日のこと。
歌のレコーディングを終えた帰り道、甘い物でも食べようかと思ってDean&Delucaのカフェに立ち寄った。
Dean&Delucaって最高な存在なんだ。
ベーカリーであり、カフェであり、グローサリーでもある。
普通のスーパーでは手に入らないようなちょっと変わった食料品や雑貨がずらっと並んでいるお店で、行くといつも心がワクワクする。
何も買わなくても、そこにあるものを眺めるだけで、自分の日常生活がちょっとオシャレになっていく想像ができる。
カフェも居心地がとても良いし、店舗展開もけっこう進んでいて便利さもあるから、本当に大好き。
という訳で、そんな安定のDean&Delucaで、好きなパンかケーキを選んで食べようと思った。
ベーカリーには「秋の新作」がたくさん並んでいた。
いつも食べている美味しくてかわいいパンたちが、秋仕様で栗やらかぼちゃやらさつまいもなんかで装った日には…!
これは全制覇したくなる。。
さんざん目移りした挙句、今回選んだのは「マロンロール」。
コーヒーも一緒に頼めば、あっという間に優雅なティータイムの出来上がり。
ずっとやりたかった レコーディングを終えた達成感と充実感、それに大好きなカフェで好きなものが食べられるこの幸せ。
噛みしめるように大事に過ごしていった夕方のひとときだった。
実は普段は、小麦も砂糖も極力摂らないようにしている。
2年ほど前、世間で地味に巻き起こっていた「グルテンフリー・ブーム」に乗って小麦を辞めてみたら、見事に体調が良くなった。
その後、色々あって「砂糖抜き」もしてみたら、これもまたびっくりで、声の調子が格段に良くなった。
それ以来、パンもパスタも、お菓子も自分の食生活のラインナップからは消えていった。
だけどこの夏、これまで我慢してきた分が一気に爆発するかのごとくパンもお菓子も食べまくった。(私は自分の中で巻き起こったこの出来事を「ひとりパン祭り」と呼び自分の歴史に刻んでいる)
異常だった。
身体の欲求とは関係のないところで膨らみ続ける欲望。
食べても食べても、お腹いっぱいになっても食べることを辞められなかった。
それまでの自分からしたら、「恐ろしい」と顔に縦線を入れるところだろう。
何しろ一度「砂糖をやめる、小麦をやめる」と決めたらとことん、お土産にもらったちょっとしたクッキーとかさえも口に入れることを拒んでいた。
「これを食べたら自分の身体がおかしくなってしまう」
そんないわれのない恐怖心に支配されていた。
でもこの夏バカみたいに「恐怖の対象」を食べまくったことで、そんなやみくもな恐れというものを抱かなくなった。
そりゃ食べ続けるのはダメだけど、一回や二回食べたくらいで身体がすぐにどうこうなるという訳ではない。
とはいえ実際、この「パン祭り」の最中は歌の練習をしていても声が相当出なくなっていたし、歌っている最中の身体の不快感も半端なかった。
そしてそんな経験をしたから
「うん。やっぱりほどほどにしよう」
と心から思えるようになった。
それに相当の量を食べたからか、ショーケースに並んだ美味しそうなパンの山を見ても理性を失わずに、ちゃんとひとつだけを選ぶことができるようになった。
(パン祭りの最中は一度お店に入ったら、3つも4つも買いこんで一気に食べてしまうのが当たり前だった。)
上の写真のように「お茶の時間に時々」というのが私にとって丁度良い、小麦と砂糖との距離感なのだ。
無理に遠ざける訳でも、無尽蔵にむさぼる訳でもない。
何より、自分の適量だけをきちんと選んで食べられた時は、欲張って買い込んだ時よりも数倍美味しく感じられるし、満足感も高い。気のせいかな?
ある特定のものについて、自分にとって丁度良い付き合いかたを知っておくのは、食べ物だけじゃなくて、人生のあらゆる場面で必要なことなのかも知れない。